2024年4月に医療法人の設立を検討しています。個人クリニックを経営している時は、毎年自費診療収入が1,000万円を超えるため、消費税の納税をしています。医療法人を設立した場合も、設立1年目より消費税を納める必要があるのでしょうか?
はじめに、消費税は原則2年前の年間の自費診療収入や金属屑の売却収入などの合計額(以下「課税売上高」といいます)が1,000万円を超える場合、消費税を納める義務が生じます。
ただし、法人設立後2年間は、2年前に法人が存在しておらず、もちろん課税売上高もありません。よって法人設立後、1年目・2年目は別の方法で消費税を納める必要があるか否かを判定します。
1年目と2年目では判定方法が異なりますので、当コラムでは1年目の判定についてご説明します。
法人設立1年目の場合、資本金の額や出資金の額で判定します。株式会社などの一般の会社の場合には、資本金の額が1,000万円以上あれば、設立1年目より、消費税を納める義務が生じます。
ただし、現在設立する医療法人には、株式会社のような資本金に相当するものがないため、設立1年目は消費税を納める義務は生じません。
なお、医療法人設立時に、院長先生が医療法人に金銭などを貸し付ける「基金」というものがありますが、基金は資本金や出資金とは異なりますので、基金の額で消費税の判定をすることはありません。
医療法人設立1年目は、基本的に消費税を納める必要はありません。
ただし、多額の設備投資を行う場合など、払いすぎた消費税を返してもらうように、あえて消費税の申告を行う事業者とする場合も考えられます。あえて消費税の申告を行う事業者となる場合には、税務署に消費税の申告をします、という届出書を一定期間までに提出すれば、1年目より消費税の申告を行う事業者となることもできます。
また、2023年10月よりインボイス制度が始まります。今後はインボイス制度も加味して、消費税の検討をしていかなくてはなりません。
インボイス制度については、別コラムに記載させていただきます。