家賃年払いの落とし穴

 私は3月決算の医療法人の理事長をしています。今期は利益が多額に出そうなので、節税のために家賃の年払いをしました。しかし、1年分の家賃を前払いしたことにより、資金繰りが悪化してしまいました。

 家賃の年払いは、容易にできる節税対策の1つです。しかし節税のことだけを考えて、資金繰りについて考えることを忘れがちです。この対策を実行するにあたって、資金繰りも留意することが必要です。

 通常、家賃は毎月大家さんに支払い、今期分の家賃だけを経費計上することになります。しかし、決算月に翌期分の家賃を前払いすれば、翌期分の家賃も当期の経費として計上することができます。

 この対策を行うためには、大家さんに年払いをしたい旨を伝えて許可をもらい、賃貸借契約書の変更をして、所定の期日までに支払いをするだけなので、決算直前でも取り組みやすい節税対策といえます。

 なお、家賃の年払いは継続的に行うことが条件となるため、一度家賃を年払いにすると、翌期は月払いに戻そうなど、コロコロと支払方法を変更をすることができません。

 クリニックの家賃1年分となると、かなり高額となる場合が多いかと思います。クリニックに資金が潤沢にあればいいのですが、年払いをすることにより、資金繰りが悪化してしまう可能性があります。

 資金繰り表などを用いて、年払いをしても資金繰りに問題がないかを十分に検討して、実行していただくことが大切です。

関連記事

最近の記事

  1. 住宅ローン控除の申告が漏れていた場合、後で還付してもらえる?

  2. FMヨコハマに出演させていただきました

  3. 11月28日研修会参加者限定の特典差し上げます!

当事務所について

弊事務所は横浜ランドマークタワーに事務所を構える、歯科医院専門の事務所。歯科医師会講演実績多数。
通常の税務顧問のほか、経営のご相談、医療法人成り・MS法人の設立・個人成り・医院承継の判断などのアドバイスを行う。また、記帳入力の丸投げ対応可。所長が女性税理士のため奥様と女性同士でやり取り可。オンラインで全国対応。その他、行政手続きや登記手続き、労務手続きなどは他の士業と連携し、一気通貫したサービスを提供。所長は関西出身、同志社大学卒。20代で税理士試験合格。

TOP