私は3月決算の医療法人の理事長をしています。今期は利益が多額に出そうなので、節税のために家賃の年払いをしました。しかし、1年分の家賃を前払いしたことにより、資金繰りが悪化してしまいました。
家賃の年払いは、容易にできる節税対策の1つです。しかし節税のことだけを考えて、資金繰りについて考えることを忘れがちです。この対策を実行するにあたって、資金繰りも留意することが必要です。
通常、家賃は毎月大家さんに支払い、今期分の家賃だけを経費計上することになります。しかし、決算月に翌期分の家賃を前払いすれば、翌期分の家賃も当期の経費として計上することができます。
この対策を行うためには、大家さんに年払いをしたい旨を伝えて許可をもらい、賃貸借契約書の変更をして、所定の期日までに支払いをするだけなので、決算直前でも取り組みやすい節税対策といえます。
なお、家賃の年払いは継続的に行うことが条件となるため、一度家賃を年払いにすると、翌期は月払いに戻そうなど、コロコロと支払方法を変更をすることができません。
クリニックの家賃1年分となると、かなり高額となる場合が多いかと思います。クリニックに資金が潤沢にあればいいのですが、年払いをすることにより、資金繰りが悪化してしまう可能性があります。
資金繰り表などを用いて、年払いをしても資金繰りに問題がないかを十分に検討して、実行していただくことが大切です。