医療法人化を考えています。働いているのは、院長である自分とスタッフ3名です。現在社会保険には加入していないのですが、法人化した場合は、社会保険に加入しないといけないと友人から聞きました。スタッフが5名未満だったら加入する必要はないですよね?
個人クリニックを経営していた場合は、スタッフ数が5名未満であれば社会保険に加入しなくても問題ありません。しかし、医療法人になった場合には、スタッフの人数に関係なく、強制的に社会保険に加入する義務が生じます。
院長先生については、健康保険について、既に歯科医師健康保険に加入している場合が多く、医療法人化をした場合もそのまま歯科医師健康保険に加入するほうが有利になるケースが多いと考えられます。
年金については、医療法人化した場合は、厚生年金に加入することになります。
年金制度は2階建てとなっており、1階の国民年金が全国民が加入する年金で、厚生年金は国民年金に上乗せされた2階にあたる部分となります。
厚生年金に加入すると、将来もらえる年金額は国民年金だけの場合と比べ増えますが、その分毎月支払う年金保険料も増えます。
ただし、法人で厚生年金に加入した場合には、保険料の半分が法人負担となります。
スタッフについては、現在社会保険に加入していないとのことですが、上述した通り、社会保険の強制加入となってしまうので、厚生年金保険料の半分を法人で負担することになります。
またスタッフの勤務中のケガや失業に対する保険である労働保険も加入し、保険料の大半を法人が負担しなければなりません。
なお、歯科医師健康保険に加入した場合は、法人が保険料の半分を負担する義務は負いません。
たとえば、個人クリニックを経営しているときの院長の所得が2,000万円、スタッフ3名の給与が、それぞれ360万円であると仮定します。
個人クリニック経営時に負担する社会保険料は
- 健康保険 約48万円
- 国民年金 約20万円
①+②=約68万円
医療法人が負担する社会保険料は
- 院長分 : 約71万円
※残り半分の71万円および健康保険料は院長個人負担となります。 - 従業員3名分 : 約99万円
- 労働保険3名分 : 約13万円
①+②=約183万円
医療法人化すると法人の社会保険料負担額が増えてしまいます。
医療法人を設立する際は、他のデメリットも踏まえ、慎重に設立の判断をすることが大切です。