奥様が数年前に設立したMS法人の代表者となっているが、医療法人の設立をした際に、医療法人の役員と兼務できるのか、というご質問をいただきました。
役員兼務はできないと認識されている方が多くいらっしゃいますが、MS法人と医療法人の兼務は一律不可ということではなく、MS法人と医療法人との間で取引関係が一切なければ、役員の兼務は何ら問題はありません。
何で兼任したらまずいのかというと、医療法人とMS法人との間で、例えば、コンサルティング報酬を設定する際に、お互い役員であればコンサル報酬を自由に決められ、医療法人が損する。だから地域に貢献する医療法人の非営利性が阻害されるのではないか、という論法です。
しかし、取引関係がなければ医療法人が損することはないため、役員を兼任していても問題ないという判断になります。
また、MS法人と医療法人との間で取引関係がある場合でも、例外規定があります。
その例外規定とは、MS法人の規模が小さいことにより、役員をすぐに変更することが難しい場合で、契約内容が妥当であると認められる場合、といったものです。
契約内容が妥当であるということは証明すれば問題ありません。
今回のコラムをまとめると、MS法人と医療法人の役員兼務は原則として禁止されています。しかしMS法人と医療法人の間に何ら取引関係がない場合や、取引関係があっても一定の要件を満たす場合は、役員兼務が可能となります。一概に役員兼務がだめと決めつけるのではなく、一度要件を満たすかを検討してみましょう。