クリニックが忙しくなり、頑張っているスタッフのために、昼食として、月に4回、1回あたり1,500円のお弁当を配りました。税務上、何か問題はありますか?
昼食の支給は基本的に給与とみなされてしまいます。実際にお金を渡していなくても、食事という利益を与えているためです。
給与とみなされる場合、源泉所得税が徴収され、スタッフ個人の税金負担が増えてしまいます。
しかし、以下の2つの要件を満たせば給与とはみなされず、福利厚生費として経費計上できます。
- スタッフが食事代の半分以上を負担していること
- 実際の食事代から、スタッフの食事代負担額を差し引いた金額が1か月あたり3,500円以下であること
上記のケースで、例えばスタッフが1食あたり800円を負担したとすると
- スタッフが食事代の半分(1,500円×1/2=750円)以上の800円を負担している
- 実際の食事代から、スタッフの食事代負担額を差し引いた金額(1,500円-800円=700円)が1か月あたり3,500円以下(700円×月4回=2,800円)である
①②の要件をいずれも満たすので、給与としてはみなされず、スタッフの税負担が増えることはありません。
ただし、この場合だと、スタッフが1食あたり800円も負担しなければならないので、スタッフの立場で考えると、給与とみなされて少しの税負担をしたほうがいいと思われるかもしれません。
もしお弁当を、院内の会議で配るということであれば、会議費として計上できます。会議費として計上する場合は、本当に会議をするために支給する食事代に限られますが、福利厚生費のようにスタッフから、負担額を徴収するということはありません
スタッフと集まってお弁当を食べる場合は、合わせて会議も行うことも検討したらいいかと思います。
スタッフへの昼食の支給といっても、食事の負担割合や金額、支給目的によって、給与課税となる場合、福利厚生費となる場合、会議費となる場合があります。今後スタッフに昼食の支給を検討する場合は、税務上どのような対応が必要かを鑑みる必要があります。