2人の人から同じ年に、同じ課税方法で財産をもらった場合は損?

 以前に贈与税の改正内容についてお伝えさせていただきました。

令和6年からの贈与税の改正内容

 贈与税の暦年課税も相続時精算課税も年間110万円までは基礎控除がありますが、いずれも、財産をもらった人1人あたり年間110万円までで、財産をあげる人ごとに基礎控除があるわけではありません。

例えば暦年課税で祖父と父から、それぞれ年間100万円をもらった場合、

(祖父100万円 + 父100万円)- 基礎控除110万円 = 90万円
 90万円×10%=9万円 の贈与税を納める必要があります。

 また、相続時精算課税で初めて祖父と父から、それぞれ年間100万円をもらった場合、2,500万円までは贈与税はかかりませんが、相続時精算課税の基礎控除を超える部分については相続税の対象となってしまいます。

 その際の基礎控除額は贈与額に応じ按分が必要となります。

 父100万円 - 基礎控除110万円×100万円 / 年間合計200万円
 = 45万円 ≦2,500万円

 祖父100万円 - 基礎控除110万円×100万円 / 年間合計200万円 
 = 45万円 ≦2,500万円

 →それぞれ45万円について、贈与税はかからないが祖父・父が亡くなった際に、相続税が課される可能性があります。

 上述のとおり、2人から同じ課税方法で財産をもらった場合は、それぞれが110万円以内の贈与であっても、課税されてしまうか可能性があります。

 同じ年に基礎控除の範囲内でより多くの財産をもらうためには、例えば祖父からの贈与を暦年課税、父からの贈与を相続時精算課税にするなど、2つの課税方法を組み合わせることが有効です。

 この方法をとると、
 暦年課税 祖父100万円 - 基礎控除110万円  ≦ 0 →贈与税課税なし
 相続時精算課税 父100万円 - 基礎控除110万円 ≦ 0 
  →贈与税課税なし、相続税の課税対象にもならない

 遺言などにより相続財産をもらう場合を除き、祖父からの暦年課税贈与は、祖父の亡くなる前7年以内の贈与であっても相続税の対象とはなりません。

 祖父から孫への贈与は、年110万円以下の暦年課税贈与であれば、贈与税も相続税も課税されないのです。

 よって同一年に祖父祖母と父母から財産をもらう場合は、祖父祖母からの贈与を暦年課税にして、父母からの贈与を相続時精算課税にするのが、望ましいパターンになる場合が多いです。

 しかし、相続時精算課税は1度届出してしまうと取り消しできないので、適用の際は税理士に有利な課税方法のパターンを相談しましょう。

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