院長が持っているMS法人株式を、税金対策のために未成年者の子供に贈与ってできるの?

こんばんはニコニコ

 今後は、院長先生や社長さんが気になりそうな税務的な内容についても、たまに書いていきますびっくりマーク

 院長先生が代表でMS法人を作った場合、会社が儲かっていない時や会社設立直後にに株式を贈与すれば、安い税金の支払いで株式を移転でき、後々の相続税対策になるので、早めに株を子供に贈与したいと考えられる先生もいらっしゃるかと思います。

 そもそも、まだ未成年の子供に株をの贈与ができるのか、という素朴な疑問が出てきますよね。

 結論から言うと、未成年者への贈与は問題ないと考えられますが、慎重に判断をしなければなりません。

 贈与というのは、あげる側ともらう側が、それぞれに「あげます」「もらいます」という、意思表示があって初めて成立します。つまり、あげるよーと言って勝手にあげるだけではだめで、もらう人がもらいます、と承諾しないといけないんです!

 MS法人株式のケースだと、あげる側の院長先生と、もらう側の子供、未成年なのでその親権者(多いのは院長先生と奥様)が法定代理人として受託することにより、贈与契約は成立します。また、株式なので、もらう側が未成年者か否かを問わず、贈与してもいいよ、という承認をMS法人の株主総会で得なければなりません。

 といっても院長先生1人が株主、という場合も多いので、その場合は自分で贈与して、自分で株主として贈与の承認をして、さらには子供の親権者として奥様とともに贈与の受託をするのは、なんか変な感じですね。
でも、きちんと手続きを踏む必要はあります!

 なお、口頭約束では税務署への説明も不十分でしょうから、書面で例えば「院長は、A株式の株式100株を令和〇年〇月〇日に子供にK太にあげます」というような内容を記載した、贈与契約書を締結されたほうがいいかと思います。

 また、単に院長→K太(子供)に株主の名義を変更しただけで、例えば取締役の1人追加などを贈与前と変わらない株主(院長)のみだけで決定している場合等には、名義はK太だけど実態は贈与前と何も変わらない(つまり贈与していないでしょ!)、ということになります。

 結果、院長先生が亡くなった際に、贈与は成立していないとみられ、その株式がそのまま院長先生の相続財産であるものとして相続税課税される可能性も考えられます。

 そうならないためには、K太が未成年のときは法定代理人である親権者(親である院長)が、成人後は株をもらったK太が、株主としての役割を果たすという認識を持つことが重要です。

 また、未成年の子供であっても、贈与時の株式の価値が、基礎控除額である年間110万円を超える場合には、贈与税の申告が必要です。

 K太がするべき贈与税の申告は、親権者である院長が行うことになりますが、院長のお金から税金を払ってしまうと、代わりに払ったお金も贈与税の計算対象となってしまうので、あくまでもK太本人の財産から税金を支払う必要があります。

未成年の子供本人にそんなお金があるのか・・って問題もありますけどねガーン

 まだ子供が幼く、法人の価値があがらないタイミングでの贈与は法律上可能ですが、課税逃れのための取引ではないか、とみられるリスクもあるため、未成年者への株式贈与をする際は、慎重に判断をする必要があります。

※※本ブログは専門的な内容を分かりやすくするため、
敢えて詳細な要件などは省略していることもございます。
お伝えした方法を実行する際は弊所までご相談ください。

弊所にご相談の無い状況でこの情報を利用されて生じたいかなる損害についても、弊所は賠償責任を負いません。

関連記事

最近の記事

  1. 住宅ローン控除の申告が漏れていた場合、後で還付してもらえる?

  2. FMヨコハマに出演させていただきました

  3. 11月28日研修会参加者限定の特典差し上げます!

当事務所について

弊事務所は横浜ランドマークタワーに事務所を構える、歯科医院専門の事務所。歯科医師会講演実績多数。
通常の税務顧問のほか、経営のご相談、医療法人成り・MS法人の設立・個人成り・医院承継の判断などのアドバイスを行う。また、記帳入力の丸投げ対応可。所長が女性税理士のため奥様と女性同士でやり取り可。オンラインで全国対応。その他、行政手続きや登記手続き、労務手続きなどは他の士業と連携し、一気通貫したサービスを提供。所長は関西出身、同志社大学卒。20代で税理士試験合格。

TOP