医療法人で購入した不動産を、院長に安く売ることはできるの?

こんばんはスター

 利益がでると税金もたくさん支払わないといけないので、できる限り利益を抑えたいと思われる方が多いかと思います。
 今まで、医療法人の利益を抑えるために、医療法人で持っている不動産を、院長先生に相場よりもかなり安く売れば、損失が出て医療法人の利益を減らせるのではないか?とお考えになったことはありませんか?

 医療法人では損失が出るけど、不動産を買うのは院長である自分なので問題ない!
ってわけにはいかないんです・・・滝汗

 医療法人が院長先生に、不動産を売るときの不動産の時価(家族などではない第3者に売るときの実際の取引金額と考えてください)よりも安い金額で売ると、実際の売った金額に関わらず、時価で売ったものとされ、時価と実際に売った金額との差額が院長先生個人の所得として課税されてしまいますガーン

 また医療法人側では、時価で売ったものとされ、実際に売った金額と時価との差額は寄付金または役員賞与となってしまいますあせる

 分かりにくいと思うので具体例で説明させてもらいますねニヤリ

 たとえば、時価1億円、医療法人が不動産を購入した時の金額(以下、取得費といいます)が8,000万円、実際に院長先生に売った時の売却金額(以下、譲渡金額といいます)が6,000万円とした場合
 院長先生には、時価1億円と譲渡金額6,000万円の差額の4,000万円が個人に課税されてしまいます。

 また、医療法人では、譲渡金額6,000万円と取得費8,000万円の差額の2,000万円が譲渡損失として計上されますが、時価1億円と譲渡金額6,000万円の差額の4,000万円が寄付金または役員賞与となります。

 寄付金または役員賞与の大部分は申告書作成上、経費とは認められないので、譲渡損失2,000万円と寄付金または役員賞与4,000万円との差額の2,000万円が、最終的には法人税課税されるわけです。

 ややこしいので、時価と取得費の差額が法人税課税されるというほうが、分かりやすいかもしれないですねニコニコ

 この時点で何もメリットないですよね・・・滝汗

 さらには、医療法上でも都道府県に報告義務が生じる取引になる可能性が出てきます。

 当該報告は、医療法人とその役員またはその親族などとの取引で、例えば事業収益又は事業費用の額が1,000万円以上であり、かつ医療法人の事業収益の総額または事業費用の総額の10%以上を占めるものは、都道府県にその取引について報告をしなければなりません。

 この報告書の提出により、都道府県から難癖を言われる可能性が出てきます。

 以上のことから、医療法人で購入した不動産を院長に安く売ることは、税務上も医療法上も何らメリットはありませんショボーン

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