クリニックを個人開業して、順調に業績があがると、個人の税金が増えるため、顧問の税理士さんから、節税のために医療法人を作ろうと提案される先生も多いかと思います。
たしかに医療法人を設立することにより、節税になる可能性は高くメリットもありますが、法人成りをすることによるデメリットも多々あります。
医療法人設立時に診療所の建物を院長先生の個人所有から医療法人所有にしたことにより、医療法人設立後にこんなはずじゃなかった!と後悔する失敗事例をご紹介いたします。
医療法人を設立する際に、院長先生が所有されていた診療所の土地・建物を医療法人に拠出し、医療法人所有となりました。
建物は3階建てで、1階を診療所、2階及び3階をスタッフの休憩室と倉庫として使用しています。
医療法人設立時は、売上も多くスタッフ数も多かったのでよかったのですが、時の経過とともに徐々に売上が減っていき、スタッフの休憩室と倉庫も1階に移転して、2階及び3階はテナントとして貸し、家賃収入を得ようと考えました。
しかし、医療法人所有の建物は賃貸に出せないと知り、空室とせざるを得ませんでした。
当該診療所は駅近で、周辺相場を見るとおそらく2階及び3階を賃貸すれば、年間1,000万円程度の家賃収入を得ることができるはずでした。
医療法人は非営利が徹底されているので、原則として所有不動産を第3者に賃貸することができません。
医療法人設立の際に、将来に当該建物の一部を賃貸する可能性がないかを鑑みる必要がありました。